
世界一を成し遂げたヤンキースの松井秀喜に負けず劣らず、写真界の新生としてニューヨーカーを魅了する日本人写真家がいます。彼女の名は、川内倫子。国内やヨーロッパではすっかりお馴染み、海を越え人気の波がこちらにも押し寄せているのです。
今年10月に開催された「ニューヨーク・アート・ブック・フェア」におけるサイン会。彼女が現れるやいなや順番待ちの列が作られ、世界各国の出版社やギャラリー、アートディーラー達を隅に追いやるような人気ぶりでした。サイン会が開かれたのは、知る人ぞ知る日本のアート系出版社・Foilのブース。彼女の文集とも言える「りんこ日記」も販売されており、それを購入していた白人女性に疑問を投げかけてみました。「日本語は読めるの?」「読めないけれど手元に置いておきたいの!」
その数週間後には、チェルシーの外れ「マウンテン・ホールド」で彼女自身ニューヨークで3度目の個展が開かれました。若手作家を主に扱う小規模なギャラリーですが、展示された作品のスケールは様々。額に入った大きめのプリントから、パネル張りの小さめの写真まで。ここでも私は、オープニングに来ていた初老のご夫婦に声をかけ、ファンの生声を聞いてみました。「彼女は、作品を見に行く価値のある写真家よ。」
写真を含む芸術作品は、言語や国境を超えるのだと改めて感じます。彼女と同じ邦人女性として、写真に関わる者として、感慨深いものがありました。来年にはチェルシーの大手ギャラリーでの個展を控え、アペチャーという出版社から写真集も発表予定。彼女の活躍が本当に楽しみです。