
日本通の外国人に出会うと、日本人以上に文化や歴史、能などの古典芸能にも詳しく、驚かされる事がよくあります。そして、日本を客観的にとらえた意見はとても興味深いものです。写真界で「外国」としてのアメリカを写した一人の写真家を思い出します。
今から約半世紀前、1924年スイス生まれの写真家ロバート・フランクが、グッゲンハイム財団の奨学金を得て北米大陸横断の旅に出ました。その目に映ったのは、外国としてのアメリカの姿。ありのままを正面から切り取った彼の写真は、後に代表作となる「The Americans」に収められ、アメリカンドリームに陶酔していた当時の米国人にショックを与えました。自国だからこそ見えないもの、認めたくないもの。反米的との酷評が大半でしたが、今なお多くの写真家に影響を与え、ファンを魅了しているのは、彼の作品が、米国の真実を鮮烈に写したからなのだと思います。
The Americansの出版50周年を記念し、米国全土で記念展が開かれ、メトロポリンタン美術館では、写真集に納められたた83点を観賞することができます。それらの写真に宿る「真実」の姿。彼は以前、次のように語っていました。「僕はいつも、内なるものを探ろうと外を見ている。真実であるものを語るために。でも、真実なんてものはどこにも存在しないのかもしれない。ただ全てはありのままそこにあるだけで。そして『ありのまま』も常に移り変わるものなんだ」
彼が写そうとした真実は、見えている存在そのものでしかいない。では、本当の真実とは何か。それは、写真を見る人の主観で移り変わるものかもしれませんね。