January 01, 2011

Polaroid Transfer


 アート志向の強いクリエイティブな人たちが集まるソーホーは、芸術色に彩られたNYきってのお洒落な街。澄まし顔で立ち並ぶ高級ブティックと雑多な芸術のカオスが混在し、路上では自作のジュエリーを売る人、Tシャツの絵描き職人もいれば、黒人がソウルを歌っている。高級店に用がなくても、飽きなく楽しめる刺激的な街でもあります。

 ある日のソーホー散策の道すがら、露店で蛇腹付きカメラを持った50歳ぐらいの男性が目に留まりました。何となしにお店を覗いて声を掛けると、店主は陽気なスペイン語訛りで「リカルド」と名乗り、晴れた日に目抜き通りに出店しているのだと気さくに応えてくれました。彼の自慢は「ポラロイド・トランスファー」と呼ばれる独特の写真技法。ネガとプリントを引き剥がすタイプのポラロイドフィルムで撮影後、ホルダーからフィルムを抜き出す。現像中にネガを水彩画用紙などに圧着し、画像を転写させればできあがり。処理中の気温・湿度によって色調が変わりますが、ちょっと荒れた感じで、色褪せたレトロな味わいのある雰囲気に仕上がります。

 リカルド氏は、人懐っこいラテン系のノリで街行く人のポートレイトを撮り、ポラロイド・トランスファーの実演販売をしているのだそうです。1枚$20、仕上がるまでに約5分。観光客にとっては旅の思い出。慌ただしいニューヨーカーにはホッと一息、束の間のブレイクタイム。陽気なリカルド氏の、笑い顔とお喋りに癒されながら。

 カメラを生業にする人は、当然ながらいつも自分が撮ってばかり。たまには素敵な写真を撮ってもらうのも良いですね。