
ひとつの芸術作品である「彫刻」を被写体として見たとき、これまでに多くの写真家が独自の手法でカメラに収め、その造形美を写真に残してきました。彫刻をどのように撮影し、彫刻本体とはひと味違う芸術に昇華させるのか?20世紀を代表する彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシは言いました。「なぜ言葉で書くんだ、写真で見せたらいいじゃないか」マルセル・デュシャンらと交流のあった彼は、マン・レイから写真を教わり、自作の彫刻を撮影して現像からプリントまで全てを完遂。ウジェーヌ・アッジェは、土門拳が仏像や寺院、古美術などを撮ったように、パリの街中やヴェルサイユ宮殿の彫刻を、独創的な切り口で写しています。
彫刻の中でも、大地をキャンバスに巨大な作品を描く「アースワーク」などと呼ばれる手法をご存知ですか?代表的な作家に、ユタ州ソルトレイクの湖岸に渦を描いたロバート・スミソン、茨城県常陸太田の大地に巨大な傘を立てたクリストなどが有名。大自然の中に美術館が現れたような、彫刻との渾然一体の自然美があります。さらには自らの身体を彫刻の被写体にする「パフォーミング・アーティスト」なる芸術家もいて、全身にガムをくっつけてポーズをとったハンナ・ウィルケや、口から水を噴き出し「噴水」と題したブルース・ニューマンの写真は、その場限りの一瞬を写したアートとして輝きを放っています。
先頃、彫刻の写真を集めた展示会がMoMAで開かれていました。彫刻を見る角度によって印象が変わるように、写真家の捉え方次第でこうも変わるものかと、その変貌ぶりに驚嘆を覚えました。