毎年恒例、MoMAで開かれる「ニュー・フォトグラフィー」は、その年に話題をさらった若手作家の作品が一堂に会する写真の祭典。昨年はどのような作品が人の目に留まり、注目を集めたのでしょうか。展示期間中に私もMoMAを訪れて2010年を総括してみました。
選ばれた30~40代男女4人の作品は、映画や雑誌、広告写真を意識しているのが共通項。どこかで目にしたような大衆受けの視点に加え、玄人をうならせる斬新さもあり、バランスに優れたアプローチが秀逸でした。
唯一の40代、ロー・エスリッジは「遅かれ早かれ雑誌に載せる作品ばかり」と語るように、常にメディアを意識していたのか、ちょっと気になる工夫を写真に採り入れていました。たとえば果物の静物画のような写真。よく見るとカビが生えている!原作をブラッシュアップする技とセンスが抜群でした。もう一人の男性、エラド・ラッスリーの作品を見ると、不確かなものに想像を掻き立てられます。「どこかしっくりこない戸惑いに興味を惹かれるんだ」と二重露光やピンボケ、ネガを数枚重ねたプリント技法を駆使し、雑誌のサイズに仕上げています。
残る2人は写真女史。映画監督ヒッチコックらに影響を受け、独学で写真を学んだという79年生まれのアレックス・プラジャー。まさに映画のスチール・フォトのようにドラマチックな写真に仕上げています。75年生まれのアマンダ・ロスホは芸術家の母と広告写真家の父のもとで育ったそうです。両親の感性を受け継ぎながらも、他の3人と同じく、独自の新しい写真観が強く感じられました。